今、コミットしている現場から  梓澤和幸

村上 怜 夜の森の桜(福島県富岡町)



  富岡町は福島第一原発から10キロ以内のところにあり、警戒区域に指定されている。
  「NPJ福島へ」 の連載レポートのはじめに書いた。5月5日梓澤、井桁、小坂医師は郡山ビッグパレットに避難する人たちを訪ねた。 川内村と富岡町の800人の人たちが避難生活を送っていた。がっしりとした上半身の背筋を伸ばし、富岡町消防団の法被をきてパトロールする男性がいた。 ひきしまったほほひげの表情が記憶に焼き付いている。
  人災──故郷の喪失という出来事は日本の近代史上初めてだろう。ある課長さんは全国からかけつけた応援のことを語った。ほほに涙を光らせて嗚咽した。
  8月、福島生活村で淡彩に出会った。富岡の桜を描いた絵はがきである。作者 村上怜氏に画像掲載をお願いしたところ快諾してくださった。
  富岡の人々、警戒区域から避難しているすべての人たちの日々と痛みに、はるかに共感をよせつつ桜並木の淡彩画を掲載する。