要 望 書 2006年11月7日 電波監理審議会 会長 中央大学理工学部教授 羽鳥光俊 様 会長代理 前三井住友海上火災保険株式会社取締役会長 井口武雄 様 東京大学副学長 濱田純一 様 日本女子大学理学部教授 小舘香椎子 様 株式会社ジャストシステム代表取締役専務 浮川初子 様 NHKの短波ラジオ国際放送で拉致問題を重点的に扱うよう、NHKに放送命令を出すことが、11月8日の電波監理審議会で諮問されると伝えられています。 しかし、今回企図されているような個別具体的な政策課題の放送が時の政府により命じられる事態に至れば、政府の放送介入という性格はいっそう鮮明となり、 憲法が保障する表現・報道の自由 (21条) の根本原則に反し、この憲法の原則を具体化した放送法の放送の自由 (1条)、 番組編集の自由(3条)などを侵害することは明白であります。このため、メディア各社、労働組合、研究者なども次々と反対意見を表明しているところです。 命令放送は、放送法53条の10によって、貴殿らが委員を務める電波監理審議会への諮問が義務づけられています。 この趣旨は、政府の一機関である総務大臣が同委員会の諮問を経ることなく、放送命令を出すことができるならば、 NHKの番組制作に直接政府が介入することになるため、これを避けるために、 同審議会に政府による報道の自由に対する侵害のチェックを期待しているものと考えられます。 今回企図されている放送命令が認められた場合、歯止めがはずれ、今後、政府の放送介入が更に拡大する可能性があります。 したがって、伝えられるとおり、今回企図されている放送命令が諮問された場合、貴殿らにおかれては、表現・報道の自由、 放送・番組編集の自由の侵害の可能性及び放送法が放送命令について電波監理審議会に諮問を義務付けている趣旨を熟慮のうえ、 賢明な判断をされるよう求めます。 【要望者】 弁護士 梓澤 和幸 弁護士 飯田 正剛 弁護士 坂井 眞 弁護士 真田 範行 弁護士 高野 泰夫 弁護士 田中 早苗 弁護士 野村 務 弁護士 日隅 一雄 弁護士 弘中 惇一郎 弁護士 渡辺 眞次 |