●目次 資料 武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律 (2003年6月6日成立) 有事関連法制問題の Point 〜ありそうな展開を予測しつつ〜 戦争法 (有事法制) を勉強しよう! 武力攻撃事態法案 〈全文〉 武力攻撃事態法案 民主党修正案 両立しない 「人道」 支援と 「軍事」 戦略 有事関連法制問題の Point 〜ありそうな展開を予測しつつ〜(5月8日)
東京新聞勉強会にて (2003/5/6)
1、はじめに韓国の弁護士の戦争への危機感 次の点がポイント @ 防衛出動の要件が拡大、緩和するーアメリカの戦争への参加 A 総理大臣の権限の恐るべき拡大――国会事前承認要件の消滅 B 自治体、指定公共機関、民間団体への義務、責務の押し付け C 市民の権利の制約 2、防衛出動の要件の緩和拡大とは 事前の国会承認が防衛出動の要件となっていない。 (武力攻撃事態法9条参照) a.武力攻撃事態の定義と防衛出動 イ、武力攻撃事態 ロ、武力攻撃の恐れのある事態 ハ、武力攻撃が予測される事態 ―――自衛隊法70条の防衛出動が発せられることが予測される場合と同じ ハの予測事態が最大の問題 政府修正案により、いくらか予測事態ははっきりしたが、要するに 「恐れある事態」 より広くなっているということである。 北朝鮮と米軍のこぜりあいや、アメリカの外科手術的爆撃 (サージカルアタック) の準備があればこの予測事態に入れる。 予測事態であると、総理大臣が認識すれば、9条の対処方針が出され、武力攻撃事態対策本部が出現し、一挙に戦時体制にはいることができる。 もちろん、武力攻撃事態、そのおそれのときはそれが可能。 (9条) (注) 自衛隊法76条では、武力攻撃とその恐れのある場合のみ防衛出動命令が出せる。 次の想定は武力攻撃予測事態の事例として、かなりリアリテイーがあろう。 アメリカ、中国、朝鮮、三国交渉の行方に業を煮やし、ヨンビョンへのピンポイント爆撃をするとき。 ――インターナショナルヘラルドトリビューン紙の報道 海上の臨検で、ミサイルを北がテロリストにミサイルを売り渡していることがはっきりし、米朝が海上で交戦状態となったとき b.政府案は内閣総理大臣一人の判断で──実際はアメリカの情報と、防衛庁の制服組の判断で──(国会事前承認は要件でないから) 防衛出動と参戦ができることになる。 民主党案も変わりはない。 c.報道機関は、このような、朝鮮半島と日本列島の周辺のリスクが起こることを情報提供し、市民をして本当にあなたは賛成なのか、よいのか、せまってよいのではないか。 市民は、もっと条文を読むべき 3、自治体、指定公共機関の責務と内閣総理大臣の権限 指定公共団体の中にNHKは明文ではいっており、 (第2条第二号)、民間放送 (福田02.5.7特別委答弁、新聞 (同5月7日答弁) も指定公共機関に含まれる可能性あり。 事態法15条2項二号の 「――または武力攻撃の排除のため、排除に支障があるとき、地方公共団体と指定公共団体に必要な措置を自ら実施し、実施させることができる。」 とあるから、報道機関にどんどん政府が入り込んでくる。 4、市民の権利の抑圧 武力攻撃予測事態でも、陣地構築命令が出せる。自衛隊法103条の要件緩和これは、物資保管命令、業務従事命令に必ず将来変わってゆく。陣地構築命令はめくらまし。 自衛隊法77条の2 陣地構築命令 自衛隊103条の改正 @物資収用、保管命令 A医療、土木建築工事、輸送を業とするものへの業務従事命令 @その刑事罰 立ち入り検査、妨害、報告義務違反──20万円以下の罰金 A物資の隠匿、毀棄―――6ヶ月以下の懲役、30万円以下の罰金 周辺事態法のときにアメリカからだされた1000項目以上の要求が参考になる。 (周辺事態法のHP添付地図参照) 燃料、衣服、食料、医薬品、弾薬、電子機器、コンピューターパーツ等の在庫の強要ということになる。 戦争反対の示威行進、報道の自由は公共の福祉に反しない限り (5月9日福田官房長官答弁) 保障との答弁 公共の福祉に反すれば、戦争目的に反すれば制限されるということ。 5、まとめにかえて リスクは具体的に市民の前にみえていないのではないか。 市民は事実を知らされていない。 〈参考文献〉 1、自由法曹団編有事法制のすべて新日本出版社刊 2、法律時報特集号 「有事法制」日本評論社 3、纐纈厚著 「有事法の罠にだまされるな」 凱風社 |