朝鮮半島〜核をめぐる危機〜    梓澤和幸


●目次
38度線からの米軍後退は先制攻撃の予兆だ!
最近ある集まりで発言したことの要旨
朝鮮半島の核危機について
朝鮮半島核問題の理解と解決策の模索
平和と人権のための日韓法律家広島宣言



最近ある集まりで発言したことの要旨 (2003年5月14)


1、3月28、29に開催された日韓法律家交流で韓国の法律家の危機感にふれた。
  アメリカの先制攻撃戦略により、北朝鮮の核施設に外科手術的爆撃が行われるのではないかとの危機感が強く感じられた。

2、3月7、8日のヘラルド紙の記事等によると、38度線から37000人のアメリカ軍の将兵を南に後退させようとするアメリカからの提案が行われ、実務的な協議もされているとのことだ。

3、ソウルではこの動きがアメリカの北攻撃の準備との警戒感があるとのことである。 いざ北が反撃してきたとき、38度線に米軍がいたのでは犠牲になる。これを回避しようというアメリカの意図があるというわけだ。
  この論評は韓国の人々だけでなく、ニューヨークタイムズ記者の署名文でも表明されている。

4、日本の報道では、こうした論評は伝えられず、切迫感は感じられない。
  ステルス戦闘機が配備されているのも 「むち」 として紹介されている。

5、武力攻撃事態法案の危険性を現実感をもって伝えるときに、アメリカが朝鮮半島で 意図していることを報道することは説得力をもつはず。
  なぜこうなのか。

6、朝鮮半島有事では韓国に少なくとも100万人の犠牲者がでるとの試算があったこと はよく知られたことだが、ひとごとになっているのではないか。
  拉致、核開発による北危険論には根拠もあるが、大局観が必要であろう。