「各論」 の 「四、国民の権利及び義務」 の 「公共の責務 (義務)」 より
国の防衛及び非常事態における国民の協力義務の規定を設けるべきである。
── 近代的立憲主義からみると、問題である。
「権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されないすべての社会は、憲法をもつものではない」
── フランス人権宣言第16条
2、押し付け憲法論を思い出す。
日本国憲法制定の経過
1946年2月1日付の毎日新聞のスクープ記事によると、
政府の憲法問題調査委員会試案は、君主主権でマッカーサーを驚愕させた。
マッカーサー三原則 ?@天皇の地位 ?A戦争放棄 ?B封建制の廃止
ホイットニーグループによるGHQ案→現行憲法の構造を形作った。
当時の国際情勢
3、誰が押し付けと感じたか。何を。
4、明治憲法体制
a 神権天皇制 ── 立憲君主制との違い
政教不分離 ── 天皇の権力の源泉を神道のいう「神」においた。
明治憲法の表現をみよ。
b 宗教弾圧のすさまじさ
大本教弾圧 信徒を3000人以上検挙し、多くの教団施設を破壊、没収した。
ホーリネス教会 治安維持法と宗教団体法によって弾圧され、
のちに日本基督教団 に参加して日本政府の戦争遂行に協力した。
灯台社事件 天皇の神格性を否定して二度にわたって検挙され、社員の一斉逮捕、解散命令を受けた。
c 言論の不自由
治安維持法
イ 小林多喜二の虐殺
ロ 一般市民の抑圧
ハ 岡林辰雄弁護士の経験
治安警察法
弁士中止の法律的根拠となった
d 知る権利の抑圧
1937年8月、桐生悠々は個人雑誌 「他山の石」 に 「時局ニ関スル記事取扱方ニ関スル件」 という 「その筋の」 文書で、 「唯新聞紙に送付されただけで」 どの新聞にも掲載されないものの内容を暴露した。
反戦又ハ反軍的言説ヲ為シ或ハ軍民離間ヲ招来セシムルガ如キ事項 など3項
5、戦争に次ぐ戦争
500万人の日本人、2500万人のアジア人の生命
その具体例
上原学徒兵の話 (きけ わだつみのこえ 第一エッセイ)
マレーシア華人虐殺事件
フィリピン人虐殺事件
6、立憲主義とは。
人権を保障し、その保障のために権力を分立し、国家機構をその方向で整える考え方
自民党による 「論点整理」 は近代的立憲主義の定義に適うものかどうか、が問題である。
今後、憲法改正の議論が発展してゆく際に憲法、立憲主義をどう基本に置いていくか、が問題である。
参考文献
「きけ わだつみのこえ」 日本戦没学生記念会編 岩波文庫
「戦争責任」 家永三郎著 岩波書店
「歴史のなかの憲法 (上)」 家永三郎著 東京大学出版会