〈目次〉 第5回 人権のつどい 講演会 2005年12月 「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」 について 2005年10月12日 「沖縄密約訴訟を考える会」への参加のお願い 2005年9月12日 「メディアの危機、憲法の危機」 100人を超える参加 (2005年7月28日) 近代という知恵 (2005年7月27日) 「憲法の危機、表現の危機」 に関して 官の優位 法の趣旨逸脱 (2005年6月21日) 日本テレビ視聴率操作問題を論ず (2003年12月24日) 裁判員制度実現にむけて (2003年12月3日) 日本テレビ視聴率問題 (2003年10月29日) 共謀罪の法案提出について (2003年7月9日) 情報産業の中小企業と法律問題を考える (2003年5月24日) 名古屋刑務所事件について (2003年2月26日) 知っておきたい法律知識と最近法律事情 (2002年7月19日) 知っておきたい法律知識と最近法律事情 (2002年7月19日) 今月、地元の中小企業家の勉強会に招かれてお話をさせていただく機会があった。 次のような展開だったが、意外な感を持った方もおられたようだ。 こんなこともあなたはやっているんですか。と言われた。 最近、ある事件の中で、決して新聞やテレビをにぎわすこともない問題で人々が塗炭の苦しみを味わっているのを体験し、そのときの感情を反映する内容となった。 それと、2001年施行の法律に法律の大原則をゆるがす内容があることをあらためて私自身再認識することとなった。 このホームページを読む方の参考に力になることを祈りつつ要旨、レジュメをのせたい。 会場でも質問が出た。今回からHPにアドレスをのせることにしたので質問のある方はよせていただきたい。なおこのページに掲載可能の方はその旨を記していただきたい。 知っておきたい法律知識と最近法律事情
── 中小企業家のための── 同友会千代田支部にて
一、倒産と債権者 法的倒産手続きの簡易、迅速化と債権者の立場 1、倒産手続きをふまれても債権者は打つ手なしではない。 資金繰り、ジャンプに協力する場合。 担保、手形、個人保証、公正証書をとる。 その威力。 わずかな資金で売掛金や貸金を保全できればすごい。 手形はいざという場合に、交渉の優位をたもてる。 仮差押の保証金も安い。 公正証書は強制執行ができるのでさらに強い。相手方の預金を押さえれば、銀行からプレッシャーをかけられる。(一般取引約定書による期限の利益喪失の威力) 任意整理の場合には。 法的倒産手続きの場合。 かけこみ注文と商事留置権 取締役個人の責任 ────商法266条の個人責任の時効は十年であることが意外に知られていない。 ある事例から ある日に訪れた高齢の相談者 倒産直前の辞任取締役はいないか。(登記所で商業登記簿謄本、閉鎖謄本を十年前までさかのぼってみる。) 資産調査の大きな武器、名寄せ、弁護士会23条照会──ある事件から 相手が死亡しているときの仮差押は。 第二、債務者の立場では、法的倒産手続きか任意整理か。 基本的には再建型にせよ、整理にせよ任意整理の選択をすすめる (わが恩師弁護士鳥生弁護士の診断) 財産処分の容易さ、取引先との人間関係 民事再生法がもつ窮屈さ 再生法が有効に生きる場合は限定的。 倒産処理の抵抗線は、公平、債権者平等を貫いた上でなお、経営者一族の擁護と社会的復活にあり。 第三、契約で変わらないこと変わったこと 1、契約は紙に書いてあると否とを問わない。 意思の合致が契約だから口約束も立派な契約 (形式を問わない) ただ契約が守られないときに約束の内容を証明するのが大変だというだけ。 また契約書にかかれていないことの証明が大変 証明力の高い証拠として、日誌、(建築関係の出面、個人の日記、フアックスの日付の入ったやりとり、手紙など) ただし、取引の条件、相手との力関係から契約書を作成できない場合は多い。 下請けと元請けの関係 代金がきまらないままの発注と受けなどということがある。 そのときはいったいいくらの合意があったと言えるのか。 結局仕掛かりの仕事量の立証如何ということになろう。 合理的な単価はどんな業種でも証明する手段はある。 300円でできる確定日付を利用しよう。 あとから証拠を作ったといわれないための工夫。 2、契約の大きな変化── 消費者(法律で定義された消費者)と高齢者を相手にするときに要注意 消費者契約法 不実の告知、断定的判断の告知、不退去、困惑の場合、取り消しうる。 セールス拡大のとき要注意。 特定商取引法(旧訪問販売法) 訪問販売、通信販売、割賦販売とクレジットとの提携への影響 割賦販売法 売る側は契約条件を明確にする義務。 8日間のクーリングオフ すごいのは、割賦販売法で、もとの販売契約の抗弁をクレジット業者に対抗できるようになったこと。 もの、サービスを売る販売業者は勉強を必要とする時代 電子契約法 電子取引には錯誤がありがちなので、錯誤をしてしまった側を保護する民法の特則をつくった。(重過失ある場合にも錯誤の主張を許す) 遠隔地の取引は普通の取引では発信主義だが電子取引では到達主義。 未成年の取消権と詐術、 小学生や中学生がネット販売の購入者になる可能性をどうするか。 年齢を問う質問を設けるのも一つの方法か。 成年後見に関する法律があるので高齢者にも気をつけたい。 大きな取引では相手が被後見者でないか、調べたい。 法務局で。 第四、DMと個人情報保護法──個人情報保護法案と中小企業 個人情報保護法の法案内容と立法動向 個人情報の利用目的の特定、目的外利用の禁止、無断第三者提供の禁止、不適法、不適正取得の禁止 個人情報取り扱い事業者に厳しい義務と処罰 刑事罰と警察の権限強化、対策を今から検討する必要あり ダイレクトメール用名簿、メーリングリスト 第五、法廷は変わった 裁判は早くなった。 書証、陳述書、準備書面の威力(ここで8割方きまる) 口頭弁論の大切さ 集中審理と準備の活用 ──ある事件の経験から 依頼人は両方の準備書面を読み比べること、心証が早期に示される。 セカンドオピニオンを聞くことは失礼ではない。 一審で敗訴したときの対策 第六、弁護士と依頼人、依頼企業の関係 どんな紛争も必ず解決する。 解決の源泉、技術、エネルギーは、弁護士と依頼人の打ち合わせにあり。 さらに言えば──。 絶望の中で、根拠のある希望を語ることこそ弁護士の役割だと私は考えている。 |